こんにちは!
今回は、外郎売(ういろううり)ってどんな話?についてお話していきたいと思います。
アナウンサーを目指す方や、お芝居の世界を目指す方には結構有名な外郎売ですが、
どういう話なのか?と聞かれると、パッと答えるのは難しかったりしますよね?
暗唱しようにも、どういう話なのか分からずに覚えるのと、内容を理解した上で覚えるのでは覚えやすさが違いますから、是非話のあらすじだけでも頭に入れておくことをオススメします。
というわけで本記事では
外郎売のストーリーをあらすじで簡単にご紹介しながら、更に詳しく知りたい方に向けて、物語の世界観も補足していこうと思います。
是非参考にしてみてくださいね。
目次
外郎売ってどんな話?
外郎売を一言で説明すると、「”ういろう”というお薬の実演販売」です。
あのなが~~いセリフは全て、
町を歩く人たちの興味を引いて、ういろうというお薬を自分から買ってもらうための謳い文句なのです。
セリフの途中に、めちゃくちゃ言いづらい早口言葉パートがありますが、「実はこれもお薬の効能なんですよ~♪」という、実演販売の一環なんですね。
そんなわけで、この情報だけでも色々と演じようがあると思いませんか?
外郎売を早口言葉や滑舌の練習用のみとするのも悪くはありませんが、
せっかくだから外郎売もお芝居の練習に活用してしまうというのもいい手だと思います。
では次の章から、もう少し詳しいあらすじをお話してきますね。
外郎売のあらすじは?
前の章で、「『外郎売』は”ういろう”というお薬を売るための実演販売」だとお話ししました。
とはいっても、やはり言葉が現代のものと違うため、言おうとしている内容をストレートに理解するのはなかなか難しいですよね。
なので、ここではセリフの内容を現代語訳に直しつつ、あらすじを確認していきましょう。
【外郎売】
拙者親方と申すは、お立ち会いの中に、
御存知のお方も御座りましょうが、
御江戸を発って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、
青物町を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門、
只今は剃髪致して、円斎となのりまする。
要は、「自分の親方はこんな人ですよ~~」と紹介しているパートですね。
冒頭で、「拙者親方」と言っているため、実演販売をしている自分自身が親方なのだと勘違いしている方が意外と多いのですが、そうではなくてあくまで親方と自分は別人です。
元朝より大晦日まで、
お手に入れまする此の薬は、
昔ちんの国の唐人、
外郎という人、我が朝へ来たり、
帝へ参内の折から、
この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、
冠のすき間より取り出す。
依ってその名を帝より、
とうちんこうと賜る。
即ち文字には、
「頂き、透く、香い」と書いて
「とうちんこう」と申す。
ここは、お薬(ういろう)の説明パートですね。
「ちん」という国の外郎(ういろう)という人が日本に来て帝に挨拶をする際、かんむりの中にしまっていた薬を一粒取り出したんです。
その様子から、帝に「透頂香」という名前を授かったんですよ~♪とw
このお薬すごいでしょ♪という、自慢やアピールをしている場面だとお考えください。
只今はこの薬、
殊の外世上に弘まり、方々に似看板を出し、
イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、
色々に申せども、
平仮名をもって「ういろう」と記せしは、
親方円斎ばかり。
一言で言うなら、「このういろう、偽物が出回ってるけど、ウチが本物だからね!」と言っている場面です。
この薬を持ってきた外郎さんの名前を、ひらがなで「ういろう」と書いたものが本物で、それを書けるのはわたしの親方だけです♪
と言った具合で、先ほどお客さんに紹介した親方の話が活きてくるわけですね。
もしやお立ち会いの中に、熱海か塔ノ沢へ湯治にお出でなさるるか、
又は伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
→近くを通る際は、道を間違えないでね! ですw
お登りならば右の方、お下りなれば左側、
八方が八棟、表が三棟玉堂造り、
破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、
系図正しき薬でござる。
薬を置いてある建物の場所と、店構えを自慢げに伝えている場面ですね。
色々言っていますが、「こ~んな豪華な造りのお店に置いてある薬なんだよ!」と、薬の素晴らしさのアピールに繋げている点にも注目です。
イヤ最前より家名の自慢ばかりを申しても、
御存知ない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船、
さらば一粒食べかけて、
その気見合いをお目にかけましょう。
ここにきて初めて、実演販売に移っていくことになります。
「…なかなか実演販売始めないなぁ」と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、いよいよここから実演販売スタートです。
先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、
腹内へ納めますると、
イヤどうも云えぬは、胃、心、肺、肝がすこやかになりて、
薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し、
魚鳥、茸、麺類の食合わせ、其の他、万病速効ある事 神の如し。
薬の効能を実況している場面になります。
言わば、お薬の効能を食レポしている状況というとわかりやすいですかね。
「飲むと内臓が元気になって、喉も口もすっきりさわやか♪ おまけに各種食い合わせも抜群の最強のお薬です!」みたいなところでしょうか。
ここまでが、怒涛の早口パートに入る前までのあらすじになります。
では、早口パート以降はどのようなストーリーなのか? という点について、次の章で見ていきましょう。
外郎売ってどんな内容のお話なの?
さて、この薬、第一の奇妙には、
舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。
ひょっとしたがまわり出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。
そりゃそら、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。
アワヤ咽、さたらな舌にカ牙サ歯音、
ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、
あかさたなはまやらわ、おこそとのほもよろを、
一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、
盆まめ、盆米、盆ごぼう、摘立、摘豆、つみ山椒、………
前の章の最後でお薬の食レポをしまして、次第に口が回ってきたことを実感して早口言葉をよどみなくしゃべって、お客さんにお薬の効能を最大限にアピールするパートへと移っていきます。
言わば、実演販売員の一番の腕の見せ所です。
たまにアナウンサーの方などが番組で挑戦している難読ニュースのように、
ここに並ぶ早口言葉に意味はありません。
とにかく言いにくいフレーズをかき集めたような早口言葉の集合体で、「こんな難しいフレーズをよどみなく言えるなんてすごいでしょ!これ、お薬のおかげなんだよ!」と言いたいわけですね。
ひとしきり早口言葉を言い終わった後で、
羽目をはずして今日お出でのいずれも様に、
上げねばならぬ、売らねばならぬと息せい引っぱり、
東方世界の薬の元締め、薬師如来も照覧あれと、
ホホ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。
↑と付け加えて、最後のダメ押しをしていますね。
「今日お集まりの皆々様、そして医学の仏である薬師如来様、『ういろう』はいかがですか?」と。
いかがでしょうか?
外郎売、なかなか面白いですよね?
何というか、意外と演じ許斐がありそうな感じがしませんか?
ただ覚えて暗唱するだけじゃつまらないし、もったいないです!
せっかくなら、面白おかしく演じてみましょう♪
ちなみに、以下の記事で外郎売をはじめとする「長セリフの覚え方」をご紹介しています。
是非合わせてご覧ください♪
まとめ
今回は、外郎売のあらすじについてお話ししました。
是非参考にしてみてくださいね!